茶道を始めて20年。
礼儀、感謝、学ぶ姿勢…
大切なことは全てお茶を通し教わった。
思い返せば、「添加物」という言葉も先生からの言葉で初めて知った。
大切な人を、本当に大切にしたいなら。何かにお金をかけるより、まずは知識をつけること。
テンカブツとの出逢い
今では添加物という言葉に敏感な私だけど、「いいものではないようだ」と思いつつ正体不明なままにずーっとスルーしていた時期もあった。
その言葉と初めて出逢った時のことははっきり覚えてる。
コンビニおにぎりはちょっと…
学生時代、茶道部に所属しかなり本気で修行に励んでいた。
月曜日はお稽古の日。
大学の敷地内にあるお茶室で、先生が一日中お稽古をつけてくださる。
遠方からいらっしゃる先生のお昼ご飯を用意するのは部長の役目。
部長を引き継いだ日。
前任の部長から、先生の好きだという具も教わり、それからは先輩と同じコンビニで毎週おにぎりをせっせと用意した。(お代は先生から頂く。)
ある時雑談の中で、先生が申し訳なさそうに
「大変だからお稽古の日のお昼は気にしなくていいんだけどね。コンビニのおにぎりはできるだけ辞めたいと思ってるの。添加物がたくさん入っているみたいだから…」
と話してくださった。
「テンカブツ」…
初めて意識したその言葉。
確かに体によくはなさそうだ。
コンビニのにはそんなものが入っているのか。
それにしても100円のコンビニのおにぎり…先生になんと手を抜いたものをお出ししていたことか…。
心底申し訳ない気持ちになり反省した。
本質を理解しないまま
ところが、その時の私には「先生にはコンビニのおにぎりはダメ!」ということだけがインプットされた。
以降、月曜日の度に自転車でちょっと離れたおにぎりテイクアウトのお店まで行って1つ300円ほどする「店内で握ったおにぎり」を先生のために用意した。
チェーンのそのお店が当時添加物を使っていたかどうかは謎。。
が、非常に高確率で入っていたでしょうね。
形がいいのに、いつまでもご飯が固くならずふわっと食べられる、濃い味揃いの具が入ったおにぎり。
「わざわざいいのよ。今まで通りコンビニのでいいからね。」
先生はきっとわかっていたけど、それ以上は何もおっしゃらなかった。
「先生のために心を込めて握ってみよう」
そんなシンプルな発想があったなら。
今ならそう思う。
大切な人を大切に
心から尊敬する先生の要望には、全部答えたかった。
「良いもの」を先生のために準備したつもりだった。
けれど本質的ではなかった。
お金と時間もかけたのに。
「添加物は避けたい」
という先生のゴールに近づけていなかったおにぎり。
知識がないだけで、大切な人を大切にできない。
なんともったいないことか!
「高級買いの銭失い」
当時の私に伝えたい。
「高いものを盲信するな!」
高いものには理由がある。
その理由に納得できるのではあればそれはその人にとって「価値がある」。
だけど、求めるものと異なる付加価値しかのっていないのであれば、それは「高級買いの銭失い」。
(なぜか食の世界では「安物買いの銭失い」と同時に「高級買いの銭失い」も横行していると思う。
それは、少しでもよいものを食べたいと願いつつも、知識がない人が大半だから。)
よりよく生きたい、よりよく食べたい。
そう思ったら、まずは知識から。
そうすれば、家族、友人、大切な人、そして限りある時間とお金も本当に大切にすることができるから。
知って選べば、どれも正解!
今日も楽しい食選びを!